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米国不動産実務研修報告-その3 【参加者からのレポート】


またまたRIAグループ_株式会社ワンダーライフの渡辺マネージャーからレポートが届きましたので、ご紹介いたします。
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報告に先立ちまして、今回この様な素晴らしい研修に参加のご配慮を頂きました事、誠に有難う御座いました。
長期不在中、ご協力を頂きました皆様に深く感謝致します。
以下研修の報告を致します。
■ 研修名:米国不動産実務研修
■ 研修先:米国(カリフォルニア州ロサンゼルス/ニューポートビーチ)
    プライム・アソシエイツ社
■ 研修期間:平成24年10月28日~平成24年11月2日(4泊6日)
■ 研修内容:1日目 米国不動産の基礎講義、不動産及びタイトルカンパニー視察
     2日目 不動産賃貸と管理、不動産及び大手不動産業者視察
1日目の午前中は、米国不動産の基礎について講義を受けました。
ライセンス制度があり、ライセンスを所持していなければ営業が出来ない点は明らかに日本と違います。日本で言う「宅建」が無ければ営業が出来ない為、営業を行っている人=ライセンス所持者=知識保持者という事になり、買主・借主にとっては非常に安心して取引に臨めます。
不動産の取引に際し、エスクローと呼ばれる第3者機関が存在し、取引が円滑かつ安全に行われるよう取引に関わっています。日本には無い制度ですが、完全に中立の立場である為、正にお互いが安心出来る制度です。
不動産という特に専門知識が要求され、且つ高額な商品を取引の対象とする際に、このような制度(第3者)がある点は日本もいずれ導入していくべきではないかと感じました。
ライセンス制度やエスクロー制度等、州によって仕組みが違う点は初めて知りました。
各エージェントは完全歩合制(契約社員)の為、個人企業と何ら変わらず、現在の我々の立場は大変恵まれている環境であると改めて感じました。
MLSと呼ばれる、日本で言うレインズに近いシステムに大変注力されており、ここに全ての情報が集約され、MLSに登録するだけで他のサイトへ自動的にリンクされる仕組みになっています。リアルターにとってはこれが無ければ仕事にならない程の存在であり、当然一般には公開されていません。しかし、他サイトへ情報が開放されている為、一般消費者でもほぼ同じような情報を簡単に手に入れる事が出来てしまう現実があるようです。
ディスクロージャー(重説)は1取引に対し200枚にも及び、様々な種類のディスクロージャーがあり、物件に対しての調査内容、通知義務は買い手保護の観点から日本よりも数段細かいのではないかと思います。
日本との大きな相違点として驚いた事は、米国では住宅を一生の間で平均6~7回買い替えるという点です。日本では一生に一度の買い物で、当然買う際に慎重になり、自らの居住環境・住みやすさ・使い勝手等当たり前に考慮しますが、米国では次に売る事を考えた物件選定やリフォームを施していく等、イメージ的には車を買う感覚に似ています。ですので中古住宅の流通が圧倒的に日本を上回っており、そもそも日本と比べ住宅自体の寿命が倍近くあるとう事になります。確かに気候の差が関係しているのかもしれませんが、同じ木構造でもかなりの差がある事は新たな発見でした。
新築住宅の流通が少ない原因の一つに、日本でいう建築確認に相当の時間を有することから、結局完成までに2年以上の時間が必要になるという事でした。
午後からはボートに乗り、沿岸部の高級物件を視察しました。米国の不動産は、ロケーションが最重要ポイントであり、ここで視察したような沿岸部は富裕層には特に絶好のロケーションのようです。その殆どが数億円を超える物件であり、居住用として、また別荘として所有されています。一つとして同じ建物はなく、沿岸部に所狭しと立ち並んでいる印象でした。空いている土地はほぼ無く、売買=上物付が普通だという事です。
立地に関しても、日本では「交通機関の近さ」「生活環境の利便性」が上位に挙げられますが、ここでは治安や教育環境、眺望などが重要視されています。
高級賃貸物件も視察しましたが、正に富裕層に対するステータス感が十二分に感じられる空間でした。敷地入口には守衛さんがおり、外部侵入を一切許さない警備体制をはじめ、専用プール、常駐の管理人など大変素晴らしい環境でした。日本と同様、ペット飼育可の物件は増加しており、既に50%~60%は飼育出来る物件になっているようです。
その後築50年のアパートも視察しましたが、どちらも一番参考になりすぐに実践可能であると感じた点は、「ステージング」です。空室(募集中)の物件には家具類が設置されております。これは日本でも出始めておりますが、中途半端なものではなく、徹底的に行っています。家具の質も、デザインも、センスも抜群で、見る人を完全に惹き付けるものです。これはやはり専門の会社に依頼しているようで、全てレンタル品だそうですが、直ぐにでも生活が始められるよう、またお客様に実際の居住イメージを持って頂けるよう細部に渡って
気を配っている様子が見て取れました。ステージング用の家具レンタル会社がある程、この「ステージング」は募集する上で重要視されています。
その他、随所で思考を凝らしたアイデアがありましたので、ぜひ参考にしていきたいと感じました。
タイトルカンパニーも視察させて頂きました。不動産のデータベースが保管されており、現在ではかなり厳重なセキュリティの中保管されています。以前は拝見できた建物も、今では社員でも入ることが出来ない程厳しくなっているようです。不動産のデータは何百年と遡った過去全ての履歴が記録されており、このデータで不動産の全てが分かります。
2日目の午前中は、賃貸と管理について講義を受けました。
大きな流れは日本と殆ど変わりはありません。ただ、米国では賃貸仲介のみで成り立っている不動産会社は無いとの事でした。
面白いと感じた点は、「FICOスコアー」という点数制で評価され、審査基準がこのFICOスコアーのみであり、特にその他特段人物像等を重要視しないという非常に分かりやすいシステムという事です。
保証金は日本に比べ少ない為、滞納時や退去時修繕費のリスクは高いようです。
管理に関しても、やはり日本と比較しても大きくは変わりません。ただ、家賃滞納に関しては非常に厳しく、比較的早い段階で提訴(日本でいう少額訴訟に当たると思われます。)に踏み切ります。また、日本では違法となった、玄関ドアへの張り紙(督促)は未だ残っています。
前日に視察した築50年の物件等、その古さを全く感じさせることなく、いかに管理レベルが日本に比べて高い水準なのか改めて感じました。ここでも「中古」という物に対する日本とは比較にならない考え方や再生の方法が優れいている点は見習うべきではないかと思います。
午後からは開発中の新築分譲住宅を視察しました。正直唖然とするスケールでした。日本の様に細部にこだわるというよりも、全てが大きく、豪華で、住む人に如何に高級感を与えるかというコンセプトがあるように感じました。新築ですら、ステージングは当たり前の様に行われています。
日本のように内装にクロスが使用されておらず、全てペンキ仕上げとなっています。湿気がない気候の関係もあるのかもしれませんが、修繕のコストは抑えられる為、スポット的に試行しても良いのかもしれません。
今回視察した一団の開発地は既に完売との事で、私達が視察中にも何組もの中国人風の方達が物件を見に来られていました。殆どが1億円超にも関わらず完売している為、米国の住宅事情も回復の兆しがあるのではと感じました。
不動産最大FCのRE/MAX加盟会社へ訪問しました。最初に述べたように、社員の雇用形態は全て契約社員になっています。社内は業績に応じて自室が与えられたり、パーテーションで仕切ったデスクのみであったりと、業績の優劣でしっかりと棲み分けされている点が印象的でした。社員はわずかな料金でRE/MAX社の看板が使用出来るメリットはありますが、日本のように基本給がある訳ではないので、完全に自営業です。
最後は築100年近い物件をリノベーションし販売した物件及びジャックさんがプロデュースした新築分譲住宅を視察しました。
とても築100年には感じさせない仕上がりになっていたことは言うまでもありませんが、現在の日本の住宅市場とは大きな隔たりがある事を改めて感じました。
新築分譲住宅では、カーテンや照明、テレビなど全てipadでリモコン操作できるシステムを導入されるとの事で、これは近々日本でも同じようになっていくのではと思います。
今回の米国不動産研修において、現地の不動産を学び、肌で感じた事、ジャックさん夫妻やそのスタッフの方々、そして一緒に参加した他社の皆様との出会い・交流等全てが本当に良い経験となりました。
天候にも恵まれ、最初から最後まで大変充実した期間でした。来年以降も、ワンダーライフから一人でも多くの社員が参加出来るよう努めて参ります。

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