宅建士 最後に覚える重要数字

住宅新報(2025.10.7号)

今年の宅建試験は10月19日に行われる。読者の皆さんは最後の追い込みに入っているだろう。今回は試験の主要3分野について、「重要数字」をまとめた。最終確認、最終チェックに役立てていただきたい。

項目の◎印は特に重要という目印です。

民法などの権利関係

【民法】

〇未成年者は、18歳未満の者。

〇取消権は、追認できる時から5年間で時効消滅。行為の時から20年を経過したときも同様。

◎債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき、権利を行使できる時から10年間行使しないときは消滅時効。

〇催告は、その時から6月を経過するまでの間は、時効は完成しない(催告による時効の完成猶予)。

〇所有権の取得時効は、善意無過失の場合は10年、それ以外の場合は20年。

〇境界線から1メートル未満のところに、他人の宅地を眺めることができる窓や縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。

◎共有物の管理行為は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決定。

◎共有物の不分割の特約は、5年を超えない期間。

〇抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、満期となった最後の2年分。なお、他に債権者がいない場合は、満期となった2年分に限られない。

〇根抵当権の元本を確定する日を決め、または変更する場合は、その日から数えて5年以内。

〇利息を生ずべき債権につき別段の意思表示がないときは、その利率は年3%。

◎種類又は品質の不適合に関する担保責任の追及は、買主が事実を知った時から1年以内に通知。

◎不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時より3年(生命・身体の侵害よるものは5年)で時効によって消滅。不法行為の時から20年を経過したときもまた同じ。

〇法定相続分

(1)子と配偶者が相続人は、子2分の1、配偶者2分の1。

(2)直系尊属と配偶者が相続人は、直系尊属3分の1、配偶者3分の2。

(3)兄弟姉妹と配偶者が相続人は、兄弟姉妹4分の1、配偶者4分の3。

(4)非嫡出子の相続分は、嫡出子と平等。

〇相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、単純もしくは限定の承認または放棄。

〇15歳に達した者は、遺言可能。

〇公正証書遺言は、証人2人以上の立会いが必要。

〇遺留分-直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の3分の1、その他の場合には被相続人の財産の2分の1。兄弟姉妹には遺留分がない。

〇遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈のあったことを知ったときから1年、または相続開始の時から10年経過で時効によって消滅。

【区分所有法】

◎管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し集会の招集を請求可。

〇集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前。

◎集会の決議に区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数が必要なもの。

(1)共用部分の重大変更(区分所有者の定数は、規約で過半数まで減ずること可)。

(2)規約の設定、変更、廃止。

(3)管理組合法人の設立、解散。

(4)義務違反者に対する専有部分の使用禁止の請求、区分所有権の競売の訴え 。

(5)義務違反の占有者に対する引渡し請求の訴え。

(6)建物価格の2分の1を超える滅失の場合の建物の復旧。

(7)各棟の区分所有建物の団地管理組合への管理の委託。

〇建替え決議は、区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数が必要。

【借地借家法】

〇借地権の存続期間は、堅固、非堅固の区別なく一律に30年(それ以上の期間を定めたらその期間)。

〇借地契約が更新された場合は、1回目の更新のときは、その存続期間は20年、2回目以降の更新からは10年。

◎定期借地権には次の3つのタイプ。

(1)一般定期借地権は50年以上。公正証書等の書面で契約。

(2)建物譲渡特約付き借地権は30年以上。書面不要。

(3)事業用定期借地権は10年以上50年未満。必ず公正証書で契約。

〇期間が1年以上の定期借家契約は、賃貸人は期間満了の1年前から6カ月前までの間に、契約が満了する旨を通知。

◎居住用建物(床面積200m2未満のものに限る)の定期借家契約は、賃借人は転勤、療養、親族の介護その他やむ得ない事由により自宅として使用が困難となったときは、1カ月の予告期間で解約の申し入れ可。

【不動産登記法】

〇表題登記は、1カ月以内。

◎相続登記は、3年以内。

 

法令上の制限

【都市計画法】

〇2以上の都府県の区域にわたる都市計画区域は、国土交通大臣が指定。

〇市街化区域は、すでに市街化を形成している区域またはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域。

〇用途地域は、13種類。

◎地区整備計画が定められている地区計画区域内で土地の区画形質の変更等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに一定事項を市町村長に届出。

〇2種特定工作物は、ゴルフコースおよび1ヘクタール以上の陸上競技場、野球場等。

◎市街化区域内で行う開発行為でその規模が1,000m2未満のものは、許可が不要。

◎非引き都市計画区域及び準都市計画区域内で行う開発行為でその規模が3,000m2未満のものは、許可が不要。

◎都市計画区域および準都市計画区域以外で行う開発行為で規模が1ヘクタール未満のものは、許可が不要。

〇開発行為の規模が1ヘクタール以上の開発行為の設計図書は、資格を有する者が作成。

【建築基準法】

〇建築物の敷地は、原則として道路に2メートル以上接していなければならない。

〇法の規定の適用の際に現に建築物が立ち並んでいる道で特定行政庁の指定があったものは、幅員が4メートル未満であっても道路とみなされる。この場合には、現況道路の中心線から水平距離2メートルずつ両側に後退した線が道路境界線とみなされる。

〇防火地域内の看板等の工作物で建築物の屋上に設けるもの、または高さ3メートル(工作物自体の高さ)を超えるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、またはおおわなければならない。

◎建蔽率が80%で防火地域内にある耐火建築物等は、建蔽率の制限なし。

〇住宅の用途に供する部分の地下室は、住宅の用途に供する部分の地上部分との合計面積の3分の1までは、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。

◎建築物の前面道路(2以上の前面道路があるときは、幅員の最大のもの)の幅員が12メートル未満である場合は、容積率は、その前面道路の幅員のメートルの数値に原則として10分の6(住居系用途地域では10分の4)を乗じたものと都市計画で定められた容積率のいずれか低い方。

〇第1種・第2種低層住居専用地域内・田園住居地域は、都市計画で外壁の後退距離の限度を1メートルまたは1.5メートルと定めることができる。

〇用途地域内において、建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を都市計画で定める場は、200m2以内の範囲で定めなければならない。

◎日影規制の対象となる建築物。

(1)第1種・第2種低層住居専用地域・田園住居地域は、軒の高さが7メートルを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物。 

(2)第1種・第2種中高層住居専用地域、第1種・第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域は、高さが10メートルを超える建築物。

(3)用途地域の指定のない区域は、「軒の高さが7メートルを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物」または「高さが10メートルを超える建築物」のうちから地方公共団体が条例で指定するもの。

〇日影規制の対象区域外にある高さが10メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内に日影を生じさせるものは、対象区域内にある建築物とみなして日影規制が適用される。

〇高さ31メートルを超える建築物は、非常用の昇降機。

〇高さ20メートルを超える建築物は、有効な避雷設備。

〇住宅の居室は、採光のため、窓その他の開口部を設け採光に有効な部分の面積を居室の床面積に対して7分の1以上。ただし、照明の設置により10分の1まで緩和。

〇居室は、換気のための窓その他の開口部を設け、換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上。

〇建築(新築、増改築移転)に確認を要する建築物の種類等。

(1)1号建築物は、200m2超の特殊建築物。 

(2)2号建築物は、2階以上または延べ面積200m2超。 

(3)3号建築物は、都市計画区域内等にある(1)(2)以外の建築物。

〇増改築、移転の場所が防火地域、準防火地域外で床面積の合計が10m2以内のものは、建築確認は不要。

【国土利用計画法】

〇規制区域、注視区域、監視区域外で土地売買等の契約をした場合は、権利取得者は契約を締結した日から起算して2週間以内に一定事項をその土地が所在する市町村長を経由して都道府県知事に届け出(23条・事後届出制)。

◎国土利用計画法の届け出を要する取引の面積。

(1)市街化区域=2,000m2以上。

(2)市街化調整区域・非線引き都市計画区域=5,000m2以上。 

(3)都市計画区域以外の区域(準都市計画区域など)

 =10,000m2以上。

【土地区画整理法】

◎土地区画整理組合の設立は、宅地所有者・借地権者が7人以上共同。

◎組合の設立の認可の申請は、土地の所有権者・借地権者の3分の2以上の同意。

◎理事又は監事の解任請求は、組合員の3分の1以上の連署。

〇個人施行者以外の施行者は、換地計画を2週間公衆の縦覧。

【盛土規制法】

◎宅地造成等工事規制区域で都道府県知事の許可を要する工事等の規模(崖の高さ等)。

(1)盛土は、1メートル超 。

(2)切土は、2メートル超 。

(3)盛土と切土同時は、2メートル超。

(4)(1)または(3)の崖を生じない盛土は、2メートル超 。

(5)(1)~(4)に該当しない盛土と切土は、500m2超。 

(6)土石の堆積は、2メートル超または500m2超。

◎特定盛土等規制区域の工事の都道府県知事への届出は、工事に着手する日の30日前まで。

 ※届出が必要な規模は、上記(1)~(6)と同じ。

◎特定盛土等規制区域で許可を要する工事等の規模。

(1)盛土は、2メートル超 (2)切土は、5メートル超 (3)盛土と切土同時は、5メートル超 (4)(1)または(3)の崖を生じない盛土は、5メートル超 (5)(1)~(4)に該当しない盛土と切土は、3,000m2超 (6)土石の堆積は、5メートル超、かつ、面積1,500m2超または面積3,000m2超。

〇一定の資格を有する者の設計。

(1)高さ5メートル超の擁壁の設置。

(2)1,500m2超の排水施設の設置。 

【農地法】

◎自己所有の農地(2a未満)を農業用施設に転用する場合は、農地法4条の許可は不要。

◎農地、採草放牧地の賃貸借の存続期間は、50年以内まで。

〇罰則は3.4・5条共通で、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。

宅地建物取引業法

【宅建業法】

◎専任の宅建士の法定数は、事務所はその業務に従事する者5人に1人以上の割合、案内所等は、1人以上。

〇宅建業者名簿に変更が生じた場合は、30日以内に届出。

◎国土交通大臣・知事免許の有効期間は、ともに5年。

〇免許の更新は、免許の有効期間満了の日の90日前から30日前まで。

〇免許換えにより新たに受けた免許の有効期間は、新たに取得した日から5年。

〇宅建業者が合併により消滅した場合は、消滅会社の代表役員であった者がその日から30日以内に免許権者に届出。

◎専任の宅建士の数が法定数に不足することになった場合は、2週間以内に是正し、是正後30日以内に変更届を提出。

〇宅建士証の交付を受けようとする者は、知事が指定する講習で交付の申請前6カ月以内のものを受講。ただし、試験合格の日から1年以内の者、または登録の移転の申請とともに宅建士証の交付を受ける場合は不要。

◎営業保証金の供託額は、主たる事務所は1,000万円、その他の事務所は500万円。

〇有価証券で営業保証金を供託する場合の充当評価額。

(1)国債証券は、額面金額の100%(2)地方債証券、政府保証債証券は、額面金額の90%。(3)その他の国土交通省令で定める有価証券は、額面金額の80%。

◎還付によって営業保証金が不足した場合は、免許権者からその旨の通知を受けた日から2週間以内にその不足額を供託。

〇弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所は60万円、その他の事務所は30万円。

◎保証協会の社員が事務所を増設した場合は、その日から2週間以内に増設した事務所分に相当する弁済業務保証金分担金を保証協会に納付。

◎保証協会は、弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その日から1週間以内にその納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を供託。  

〇宅建業者が保証協会の社員の地位を失った場合は、その日から1週間以内に営業保証金を供託。

◎専任媒介契約の有効期間は、3カ月を超えることはできず、これより長い期間を定めたときは、その有効期間は3カ月に短縮。

〇専属専任媒介契約を締結した場合は、契約の日から5日以内(契約締結日と休業日を除く)に指定流通機構に登録。

〇専属専任媒介契約を締結した場合は、業務処理状況を1週間に1回以上の割合で報告。

〇専任媒介契約を締結した場合は、契約の日から7日以内(契約締結日と休業日を除く)に指定流通機構に登録。

〇専任媒介契約を締結した場合は、業務処理状況を2週間に1回以上の割合で報告。

◎クーリングオフに関する方法等を書面で告知された日から起算して8日が経過した場合は、申込みの撤回等を行うことができない(当日を算入)。

〇宅建業者は自ら売主となる場合は、手付金を受領するときは代金の10分の2が上限。

〇宅建業者が自ら売主となる場合は、契約不適合責任を追及するための通知期間について目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は有効。

◎宅建業者は自ら売り主となって工事完了前の物件を販売して、代金額の5%または1,000万円を超える手付金等を受け取る場合は、受け取る前に手付金等の保全措置(完成物件では10%または1,000万円を超える場合とな る)。

〇宅建業者が自ら売主となって行う割賦販売の賦払金の支払いの遅滞を理由とする契約解除は、30日以上の期間を定めて書面で催告。

〇従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存。

◎帳簿は、閉鎖後5年間(宅建業者が自ら売主となる新築住宅の業務に関する帳簿は10年間)保存。

〇契約の締結等を行う案内所等は、業務を開始する10日前までに(中10日)、免許権者及び所在地を管轄する都道府県知事に届出。

◎報酬規程 

〇低廉な空家等は800万円以下。

 低廉の空家等の売買の媒介の特例は、依頼者の一方から受け取る報酬の上限は33万円(消費税を含む)。

〇長期の空家等の特例は、貸主から借賃の2カ月分の1.1倍の報酬を受領できる(消費税を含む)。 

【履行確保法】

◎保証金の供託は、基準日から3週間を経過する日までの間。

〇供託額は、基準日前10年間に引き渡した新築住宅の戸数を基礎とする金額。

◎供託等の届出は、基準日ごとに、基準日から3週間以内。

〇供託等をしていない場合等の措置は、基準日の翌日から50日経過後、自ら売主の新築住宅の売買契約の禁止。

◎不足額の追加供託は、国土交通大臣から通知書の送付を受けた日から2週間以内。

〇55m2以下の小規模住宅は、2戸をもって1戸。

【固定資産税】    

〇固定資産税の標準税率は、1.4%、1.7%を超える税率を定める場合は議会で納税義務者の意見を聴く。

◎住宅用地に対する課税標準の特例。

(1)200m2以下の部分は6分の1 (2)200m2超の部分は3分の1。

◎新築住宅に対する減額の特例。

 床面積50m2(共同住宅等の貸家は40m2)以上280m2以下は、3年度間または5年度間(中高層耐火住宅)は、120m2までの部分の税額が2分の1。

〇免税点。

 (1)土地は、30万円未満 (2)家屋は、20万円未満。

以上